「俺のため?」 気付いたら。 息のかかる位の距離にアイツの顔があって。 「ちょっとは意識してくれてんの?」 あれ…? 桐谷直、じゃない…みたい。 いつもの可愛い…じゃなくて、軽い感じとはなんか違った。 いつもよりも低い…意地悪な声。 あの昼の時とどこか似ていた。 「奈緒、すげぇ可愛い。」 「え、ちょ、ば、バカッ!!」 恥ずかしくなってそのまま逃走した。 「ちょっとイジメすぎたか…」 ―…なんて声すら聞こえずに。