卒業式。
久しぶりにあの木の下に集まった。
誰からと言ったわけでなく、なんとなく。
気付いたらそこにいたらしい。
そのとき全部を話した。
離れ離れになるということもあり、何一つ隠さずに話した。
先輩が真優さんを好きだったこと。
それを言い出せなかったこと。
真優さんは直が好きだということ。
フラれたこと。
直は何も分からなかったこと。
2人をただ友達として大好きだったということ。
先輩の帽子がセンス悪いとか。
真優さんのマフラーが長すぎるだとか。
直の染めた髪が明るすぎるだとか。
そんな他愛もない会話だってした。
久しぶりに喧嘩もした。
久しぶりに笑いあった。
昔の3人が戻ってきた。
最後の日に。
何よりも幸せな瞬間だったという。
そう、それはたったの『瞬間』


