何となく『好きな人おる?』って話になったらしく。
先輩は『おらん』と言い、もちろん…真優さんも。
それが初めて3人の間に嘘が生まれたときだった。
何があったわけでもなく、3人はよそよそしくなり。
その理由を先輩と真優さんは知っていた。
でも直はまだ気付いていなかった。
悲劇の始まりに。
先輩が真優さんに思いを伝えることはなかった。
それは『ずるかった』からだと言う。
報われないと知っていたから隠したのだ、と。
それと、この関係が崩れるて欲しくはなかったから。
でも想いを経つこともできず、直との仲も互いが避けるようになった。
喧嘩も、ぶつかり合いも、2人の間から消えていった。
少し経って真優さんは告白した。
もちろん友達だと思っていた直は断り。
訳が分からない、と呟いた。
フラれても簡単に諦めることはできなかったらしく。
真優さんはその恋をただただ追いかけた。
追えば追うほど遠ざかって。
3人が一緒でいることはなくなった。
そして中学校の卒業式。
その悲劇の、フィナーレ。
『3人』
それは、もう―…


