●奈緒side



開いては、閉じて。

閉じては、開いて。






何度見てもケータイの画面に変化はない。


【新着メールはありません】






もうどれくらいこうしているのかな?

届くはずのないメールを、ただただ待ち続けていた。







「…っもー奈緒ったら!そんなにメール待つくらい桐谷君が好きなら何で別れたりなんかするの?!」





“別れた”


その1つの単語が胸の傷をえぐる。

傷口はよい方向を見せずにどんどん化膿していくばかりで。







「…だって……あっ」







言いかけて、やめた。



ケータイのディスプレイが光を放つ。

【新着メール1件】