帰り道。
未優が休みなく喋り続けていた。
でもそれは俺の耳を通り抜けて風として消えていった。
いつのまにか未優は俺の手を握っていた。
さも嬉しそうに。
「何やってんだよ、離せって」
嫌だった。
別に、未優はもちろんウザイけど、未優じゃなくても嫌だったと思う。
今つないでるこの手が、奈緒の手じゃないって事が。
「え~じゃあ腕組んぢゃお♪ダメって言っても無駄だからね~」
そう言って今度は腕を絡ませる。
何を言っても聞かないだろうと判断した俺は騒ぐ未優を無視した。
てか、それどころじゃないのが本音。
未優と一緒に居ても。
腕なんか組んでても。
頭の中は奈緒が占領していた。
あいつ、泣いてっかな?
まさか、拗ねてる??
全部、奈緒ばっか。


