｢…奈緒は優しいわ｣
あたしは首を横に振る。
そんなことない。
優しくなんかないんです、先輩…
｢あたしはただ…先輩が辛そうになのを見てられなくて…っ｣
ううん。見てるのが辛かったの。
だから、自分のため。最低だ。
｢はぁー…わかっとらんなぁ…それが優しいって言うてんの。｣
｢え……？｣
先輩があんまりにも優しく笑うから、我慢してた熱いものが頬を撫でた。
｢…他人の為に泣ける奴、そうおらへんで？｣
｢……っ｣
何でそんな泣いちゃうようなこと言うの…
励ましてたつもりが、いつのまにか励まされていて。
｢奈緒…ありがとうな｣
先輩は笑った。
今度はつくりものの笑顔じゃなくて胸の奥から自然に出てきたような、そんな。
あたし…少しは力になれたのかな？
