●side奈緒


「はぁ…っ…はぁっ」




切れる息。

前も見ないで走ってきた先は家とは反対方向だった。




方向オンチもここまで来ればスゴイかも…

なんて現実逃避したくもなる。






小さな公園があった。



古びたブランコがなんだか懐かしく思えた。

ろくやった記憶なんかないくせに。






ギー…コ…ギーコ…



錆びた音が心を落ち着かせてくれる気がする。






なーんかよくあるよね、こーゆーの。

失恋した子が1人寂しくブランコしながら泣いてるってやつ。



失恋はしてないんだけどね…





「はぁー…」





さっきからしきりに出る溜め息。


「はぁっあー…」