見たいけど、見なかった。 気になるけど、振り返らなかった。 もし今、奈緒を見たら未優はきっと気付く。 鋭いアイツなら絶対。 そうなったら奈緒が危なくなる。 奈緒は…巻き込みたくない。 そうやって奈緒の心配するフリして、俺は自分を守りたかっただけかもしれない。 こわかった。 奈緒に知られるのが。 “あのこと”を。 だから目を瞑った。 本日5回目のため息をして。 「はぁっ…」