「もぉー会長ったらぁ…うちの執事に手出さないで下さいよぉ~!」
この甘ったるい声は…
悪魔が可愛い姿で登場する。
「な、直…」
「直!?お前もまた、えらいべっぴんさんやなぁ~♪どや、俺と付き合わん?」
ニコニコ天使スマイルをふりまく直の顔から、笑顔が一瞬にして消えた。
オーラが、オーラが黒い!!
肩に置かれた先輩の手を勢いよく振り払った。
「うっせぇ触んな、変態会長が。俺の奈緒に手ェ出してんじゃねーよ」
「よう言うわ。あんなに泣かせといて、自分何様のつもりや?」
「メイド様だよ。口出すんじゃねぇ、部外者のクセに。」
冷たくて、どす黒い空気が漂う。
どう考えてもメイドじゃなくて俺様でしょ。
よくドラマである、火花が微かに見えた気がした。
「はっ、部外者…えらい言われ様やな。まぁ、そんなんどーでもええわ。ただ、次に奈緒を泣かせたら今度こそ許さんからな?」
先輩の瞳にはひとつの曇りも感じられなかった。
恐ろしいほどに鋭い視線。
「先、輩…」


