「…ッ」 屋上から見上げる空はいつも綺麗。 青く、高く、凛とした強さがあって。 まるで直みたいだった。 「直っ!!」 直はやっぱり空を見つめていた。 ドアの音で気付いたはずなのに全く反応を見せない。 叫んでも、それは変わらなかった。 「直…っ!!」 ゆっくりと近づいた。 手すりに寄りかかる背中をもう一度呼んでみた。 「何?」 振り向きもせずに応えた。 それは低く、どこまでも冷たい声だった。