「…かないの?」 「え?」 落ち着けるみたいに瞬きしてから莉奈はもう一度聞いた。 「何で彼氏つくんないか聞かないの?」 莉奈は不安そうに聞く。 上目づかいのような眼差しが何だか可愛く思えた。 …聞いてほしいのかな? でもこれを聞くことでこの瞳を曇らせてしまうような気がして。 この瞳を濡らしてしまいそうで。 「いいよ、気つかわなくっても。」 にへって笑う莉奈。 あたしは気付いた。 その切なそうな笑みに。 でも彼女がそれを望むのなら。 少しでも傷を癒せるのなら。