自分の心を否定するように首を振る。
隣の席で、莉奈が驚いた顔をしていた。
え、何?
あいつ何か言ったの?
全く聞いていなかったあたしは莉奈の反応に、周りより遅れて驚く。
「あ、あの人の名前もナオなんだって!」
「え…?」
ナオ?
それあたしの名前じゃないの?
莉奈、あの人の名前“も”って言った?
「も、ってどういうこと?」
あたしの聞きたかったことを先に言う転校生。
なんとなく分かってきて、顔がどんどん青ざめていく。
まさか同じ名前…?
「あ、てか名前教えてよ!」
軽く聞いてくる転校生。
ありえない…、
こんなことって…。
嫌々ながらも、唇をそっと開く。
あたしの、名前は…
「あ、芦屋奈緒…」


