「そんなに知らない土地はイヤか?」 「イヤ!」 「どうして?」 「帰りたくないの?」 「俺はお前だけいればいい。」 「はぁ?」 「なんだよ。」 赤くなる敬浩が妙に可愛かった。 「お、お前は俺がいるだけじゃ不満か?」 「…ぜぇーんぜん!」 「だろ?」 そう言って、私たちは歩き出した。 来たこともない道を地図もないけど、お互いの手を握り合って。 握る強さはどこかお互いの信頼感を表すかのようだった。