その日の夜。


私は携帯電話を握ったまま動けないでいた。




そんな時、ブーブーブーって携帯が震えた。

ディスプレイには吏玖の名前。



「もしもし…」


「もしもし、何してた?」

電話の吏玖の声は明るい。

「ちょっとぼーっとしてた。吏玖は?」

「俺はテレビ見てる。」


吏玖は見てるテレビの話をするけど、私は噂の真相を聞かなきゃって…そればかりが頭の中を回っている。


「結衣、聞いてる?」


「うん、聞いてるよ!」


吏玖の言葉に慌てて答えた私は、意を決して聞いた。


「あのさ、吏玖」

「何?」

「…元カノと一緒に帰ってるって本当?」

「……」

吏玖の返事はない。
「本当だったんだ。何で…?」

声が震えた。