カラオケでみんなが盛り上がる中、私は一人上の空だった。

先輩達とも、今日で本当にお別れになるのに…

私の頭の中は高梨君でいっぱいだった。

「綾瀬、ちょっといい?」

矢野先輩に連れられ部屋の外に…


「あのさ、俺、綾瀬のこと好きだったんだ。だから、よかったら付き合って欲しい。」


告白だった。


大好きだった先輩からの告白。


昔の私なら泣いて喜んだかもしれない。


「ごめんなさい。…私も先輩の事ずっと好きでした。…けど、今は他に好きな人がいるんです。」


先輩はフゥッとため息をついた。


「好きな人いるなら仕方ないよな。まぁ、スッキリしたからいっか。ごめんな!頑張れよ。」


「はいっ!」


私はさきに部屋に戻って鞄を持った。


高梨君に会いたい。
会って聞かなきゃ…
こんな上の空でみんなといたら迷惑になる。


「ごめん。私帰るわ!先輩たちによろしく言っといて!」


矢野先輩にもサヨナラして、私はカラオケボックスから出た。