「…まだ好きなの。お願い!私ともう一度付き合って!」


「ごめん。無理。俺、好きな人いるから。」


自転車小屋の隅から声が聞こえてきた。
「じゃあ、吏玖の好きな人って誰?教えてよ!教えてくれたら諦めるから!」


何か女の子が必死に訴えてるのが聞こえる。

可哀想だな。

想いが通じ合わないのってつらいよね…

私が足早に自分の自転車に行き漕ぎ始めようとした時

「マネージャーの綾瀬さんだよ」


な、なに?
何?
何?!

私?!

今私の名前だった?
マネージャーの綾瀬なんて、私くらいだけど…


私は自転車を漕ぎ出すのを忘れ、その場で混乱してしまってた。