吏玖は私を抱き締めて、

「ごめんな。」

って何度もつぶやいた。

そんな吏玖に私も我慢してた涙があふれでた。






どのくらいの時間が経ったのか…

私の涙も落ち着き、吏玖もいつもの吏玖に戻りつつあった。

「結衣、今日で引退なんだよな…」

「…うん。」


「もう部活来ないんだもんな…」


「…うん。」


「あぁぁぁ…マジで無理。結衣がいたから楽しかったのに…自分に腹立つ!何で負けたんだよ…俺。」


「…寂しい?」


「当たり前じゃん。結衣がいないサッカー部なんて考えたくない。」

吏玖の抱き締めてくれてる手に力が入って、ギュッて更に抱き締められた。


「私も吏玖のサッカーを間近でサポートできなくなるのは寂しい。」


「俺、でも頑張るからさ…ずっと見守ってて?俺のこと。ずっと一緒にいよ?俺、結衣がいたら頑張れる。来年こそ選手権連れて行く。約束するから。」


「うん。ずっと一緒にいる。吏玖を応援するから。」

吏玖の体が離れ、私の目を見つめる。

吏玖は、
「約束な!」
って言って私のおでこにキスをした。

私が急に恥ずかしさを取り戻し、周りを見ると犬の散歩をしてる小学生の男の子と目があった。

「どぉしよ…見られた!」

赤面する私に吏玖は、
「だから、おでこで我慢したんだよ!」
って。

そういう問題じゃないから!


恥ずかしくて、私はうつむいたまま吏玖に連れられ家に帰った。