「麻美、私もう図書室で勉強するのやめる。ごめんね。」


「私のことは気にしなくていいよ。結衣の方が大変じゃん。本当に困ったね。」

「うん。なるべく藤君と関わらないようにしなきゃ…吏玖に嫌われそうで怖い。」


「ちゃんと高梨君にも話しなよ。絶対ややこしくなってるから。」


「うん。じゃあ、また明日ね。」


麻美にサヨナラしてげた箱に向かった。

藤君に見つかると絡まれそうだから、隠れながら急いで靴をはき、自転車小屋に行った。



「結衣。」


名前を呼ばれて振り返ると吏玖がいた。

久しぶりに見た吏玖に嬉しさがこみ上げてくる。

「吏玖。何で?今日は病院じゃないの?」

「行くよ。けど、結衣も一緒に来て。」

吏玖の顔はどことなく怒ってる。


もしかして藤君の事聞いたのかな。


けど、会えたことが嬉しくて、そんなの気にならなかった。

「ほら、行くよ。」
「うん。」


病院までは15分くらいで着いた。

その間会話はゼロ。
やっぱり怒ってるみたい。


私は待合室で吏玖が終わるのを待っていた。


「終わったよ。帰ろう。」


吏玖と一緒に来た道を引き返した。