麻美が帰って5分が過ぎた時、図書室に誰か入ってきた。


「綾瀬さん。」

私の名前を呼んだのは隣のクラスの藤君だった。

同じクラスにはなった事ないけど、有名だから名前を知ってる。


学年トップクラスのイケメン。
成績優秀。
運動神経抜群。


だから女子に大人気。

なぜ、そんな彼に声をかけられてるんだろ…


「何か用ですか?」

「俺の名前知ってる?」


「藤君だよね。」


「うん。あのさ…俺、綾瀬さんの事好きだったんだよね。付き合ってよ。」


…?


…好き?


…付き合って?


藤君の言葉が頭の中でぐるぐるしてる。

「…まじですか?」

「大マジだし!」


「何で私なんかを…」

「見ててすごく純粋そうだし、顔もタイプだから。」


まさかの展開に顔が赤くなるのが自分でもわかった。


藤君に告られるなんて、意外すぎて驚いた。


私がもし、誰とも付き合ってなくて、吏玖の事を好きじゃなかったらOKしてるかもしれない。


けど、私は吏玖が好きだから…


「ごめんなさい。付き合えません。」