新月の兎

「……い!おい!」

うっすらと目を開けました。おまわりさんでしょうか?青い服のポケットの部分が見えます。

「こんなところで寝て。ほら、起きなさいっ」

私は慌てて起き上がろうとし、おまわりさんが支えてくれました。

どうやら、あの電信柱の影のようです。赤い車はありません。

「すみません。ありがとうございました」

私は一礼し、歩き始めます。

一体、何があったのでしょうか。上着も着ていますし、靴もはいています。あれは夢だったのでしょうか。

夢だとしたら、なんだか悲しいような、寂しいような。

私は兎と女性の飛んでいった空を仰ぎました。

ふと気がつくと、夜の空の奥深くが、明るく白く染まってきているようで、雲が濃く見えるようになってきています。

あれ?

と思いました。

月がありません。
今日は新月のようです。