キキィーーーッ!!!

と、急ブレーキの音がしました。

私はちょうど角を曲がっていて、あの赤い車が急ブレーキをかけた場面に出くわしたようです。

なにやら怒鳴っている声が聞こえてきます。

私は電信柱の影から早くあの車が走り去っていきますように、と祈りました。

夜道を歩く私に、安心感と明るい道を提供して下さった車は今、恐怖感を漂わせ、通行の邪魔をします。

ひょこ。

小さく白い何かが車の下から出てきました。

私はしゃがみ込み、目を細めます。