一瞬空気が震えたのが分かる。 「はぁっ…すっきりした!」 息を切らしながら言うと、先程とは打って変わって晴れ晴れとした表情になった。 私は天嶺美里、高校二年生。 でも実は東の怪盗と呼ばれる家系で、今世間を騒がせる怪盗マリンだったりする。 そんな私が何故あんなに不機嫌だったのかというと。 「…婚約者って…ないよ」 そう、突然祖母に言い渡されたのだ。