時雨の花

興奮した様子の母は舞台に顔を向けたまま、抑えぎみに言った。

「ほらっ明広にぃだよ。すごいわね」

舞台には、“明広にぃ”と呼べるほど親しい人物はいなかったが、代わりにほとんど話したこともない、いとこの姿がある。

彼は舞台の中心に立って、太陽よりもうっとうしい光を一身に受けていた。

『見るに堪えない顔だな』

彼女はいとこの母と、自分の母との電話での会話を思い出して、ひっそりと笑った。

彼女達の会話の断片は、幼い自分でもわかるほど、あからさまで、いとこが不敏に思えるほどだった。

『イジメ』『拒否』
『学校』

腹の底から込み上げるようなおかしさだった。

笑わせる。
こんなことをしている暇があったら、早く学校に行けばいいのに。