「じゃあ、タカ先輩。
ほかには、美雪先輩のどういうところが好きですか？」


タカ先輩はまた私をにらむ。


でももう負けない。


私にはカンジ先輩がついててくれる。


「だって、色気だけじゃないですよね、美雪先輩の素敵なところは。
私、美雪先輩のこと尊敬しているんです。
だから、タカ先輩がちゃんと美雪先輩を好きでいてくれてるってわからないと、心配なんです」


タカ先輩は、しょーがねーな、とつぶやくと、タバコをもみ消した。


「美雪は、ちゃんと理由があって振ったにもかかわらず、自分を責めるような女なんだよ。
しかも、畜生みたいなやつでも相手の人権を守ろうとする、生真面目な性格なんだ。
まあ、余計な仕事まで抱え込む、お人好しなところもあるけどな。
だから、放っておいたら、たぶんコイツは簡単にだまされる。
お涙ちょうだいの話されたら、二束三文の壷でも印鑑でも大枚はたいちまいそうだし、
悪い男に引っかかって貢がされたりもしそうだ。
そう思ったら、人助けだと思って…って、いってぇ」


タカ先輩の話の途中で、美雪先輩の突っ込みの手が飛んだ。


「私はそこまでお人好しじゃないわ」