「で?どこ行くの?」
エレベーターの中で沙希ちゃんが聞いてきた。
「水島新司って知ってます?」
「水島・・新司?」
「ええ、漫画家なんですけど。『ドカベン』って野球漫画書いてる人なんですけど」
「ドカベンなら知ってるよ、むか〜し、アニメでもあったよね!」
「その水島新司って新潟出身なんです。で、その漫画のキャラクターのブロンズ像が『古町通5番町』って所に行ったら観れるんですよ」
「勇次くん野球も好きだもんね」
「僕一人なら歩いて行くつもりでしたけど、沙希ちゃんと一緒ならタクシーで行きましょう」
僕は彼女の足元を見て言う。
彼女が踵の高いヒールを履いていたからだ。
ホテルのエントランスで客待ちのタクシーに乗り込み、古町通5番町までと告げる。
タクシーは先程僕らが遠目でみた萬代橋の上を通過し、およそ10分で古町通5番町に到着した。
この辺りは近くに官公庁があったり三越や大和と言ったデパートや、ちょっと歩けば15以上のお寺が並ぶ通りがあったりと、古い町並みと新しい町並みとが良い感じでマッチしていた。
目的の水島新司マンガストリートはそんな町並みの中にあった。
一本の通りにドカベンの山田太郎や岩鬼正美、野球狂の詩の水原勇気、あぶさんの影浦安武と言う、まさに水島新司ワールドのキャラクターブロンズ像が並んでいる。
狭い路地の入口にはミニチュアの山田太郎像なども隠れていたりして僕は童心に返り大いにはしゃいだ。
でも、やはりと言うか、沙希ちゃんは僕ほどには楽しめていないようだった。
「沙希ちゃん、ここからもう少し足を延ばすと水族館があるんですけど行ってみますか?」
「水族館?」
「はい。イルカショーや海底トンネルもあるみたいだし行ってみましょうよ!」
「うん!行く!」
『マリンピア日本海』
ここは約450種、2万点の水生生物に出会える水族館でイルカショーやラッコの食事タイム等が見所である。頭上をエイや魚の群れなどが泳いで行くマンントンネルは圧巻の一言に尽きた。
沙希ちゃんはある水槽のガラスにピッタリとくっつき、中にいる生物をじっと観察をするように見ている。
「ねー・・カニ・・いる・・」

