僕は23階でエレベーターを降りた。
沙希ちゃんとここあさんの部屋は26階だった。
ホテルの部屋に入り案内してくれたベルボーイにお礼を言う。
荷物の入ったバッグをベットの上に放り投げ、僕もそのまま倒れ込んだ。
「あー、身体がギシギシ言うー。このまま眠りてーぇ」
俯(うつぶ)せのまま独り言を言った。
ゴロンと仰向けになり目を閉じると、高速道路の流れる景色が頭の中でグルグル回る。
(あ・・眠りそう・・)
僕は眠りの淵をさ迷っていた。
どれくらい眠っていたのだろう。聞き慣れないチャイムの音にハッと目が覚めた。
ドアに近づいてゆき「はい」と声を出した。
「あたし。開けてぇ」
オートロックのドアを引き、沙希ちゃんを出迎えた。
彼女は部屋の中をキョロキョロと見渡しながら窓に近寄って行った。
「あたし達の部屋とは向きが反対だね。ほらあれ駅じゃない?」
窓ガラスにへばり付くようにしてコンコンっとガラスを指で叩きながら言い、ベットの方に向き直った。
「まだ荷物も解いてない、寝てたの?」
ベットの上に放りっぱなしのバッグを見て言う。
僕はベットの淵に腰掛けながら、
「みたいです」
と言った。
「疲れた?大丈夫?あれだけ運転したら疲れるよねぇ。でも・・来たね、新潟・・」
「来ましたねぇ。一日でこんな距離を車で移動したのは初めてですよ」
「ヨシヨシ・・。良くがんばりました。で、新潟に来たら行ってみたかった所ってどこ?」
彼女は僕の前に立ち、僕の頭を撫でながら聞いてきた。
「じゃあ、散歩がてら行ってみましょうか。ちょっと歩くけど試合にはまだ時間があるし。ここあさんはどうしてました?」
「うん。彼女、荷物を片付けた後、ルームサービスでお酒を頼んでた。『飲まなきゃやってられない』って」
「心配ですねぇ・・」
「そうだね。でも一人で考える時間が必要なんだと思う、今の名山さんには・・」
「じゃあ、行きますか?」
「うん!行こう!」
二人で部屋のドアを閉めてもう一つの目的地へ向かった。
「あー!」
「どうしたの?」
「鍵・・部屋の中・・」
「ばか・・」

