【件名:ゴール裏にいます】

店の表で待っていた二人に今聞いて来た事をそのまま話し、車を沙希ちゃんに任せて僕とここあさんは権田先輩達を探した。

駅前まで走った僕はその光景に愕然とした。

新潟の駅前はオレンジ色のレプリカユニホームに身を包んだアルビレックスサポーターで溢れ返っていたのだ。

(何人いるんだ・・)

僕はその場に立ち尽くしたまま沙希ちゃんに電話を掛けた。

「さっき来た道を戻って来てもらえませんか?途中に名山さんが歩いていますから、拾ってきて下さい」



5分後に沙希ちゃんは到着し、僕と同じ光景を驚愕の眼差しで見ていた。

「この中から二人を見つけ出すのは無理っぽいね・・」

「そうですね。これは時間の無駄かも知れませんね・・」

「ちょっと!諦めないで探してみてよ!」

「ここあさん・・ここは諦めましょう。お昼でも食べながら次の手を考えた方が得策ですよ?」

ここあさんは黙ってしまった。
ももちゃんらしき人と権田先輩が一緒にいた事に少なからずもショックを受けているように僕は感じた。


今日宿泊予定のホテルは信濃川の中洲にあった。
ホテルのチェックインにはまだ時間がある為、駐車場にステーションワゴンだけを預け、僕らは徒歩で『万代島鮮魚センター』へと向かった。

ここは新潟漁協に隣接し、新鮮な魚介を販売すると共に飲食コーナーで食事も楽しめる。
無料サービスのアラ汁もその人気に拍車をかけていた。
――――と、ガイドブックに書いてある。


実際に鮮魚センターを訪れてみると、市場のような活気溢れるスーパーマーケット、と言う感じだった。

それぞれの店で買った物を飲食コーナーですぐに食べられる魚介のファーストフードと言った所だろうか。

センターを訪れてすぐに目に付いたのはズワイガニの安さだ。
一杯840円。三杯で2,400円とあっては沙希ちゃんの目も輝くのはしかたない。

しかもそのズワイガニは冷凍の輸入物ではなく新潟港で水揚げされた物と聞いてさらに驚ろいた。



生き返ったように元気に跳び回っている沙希ちゃんに比べてここあさんは元気が無かった。

彼女の心中を考えればそれも無理はないだろう。

「ここあさん、今日の試合絶対連れて行きますよ!」

「勇次くん・・」