車内は静かになり僕は運転する事に意識を集中させた。
後部座席では沙希ちゃんとここあさんが肩を寄せ合うようにして眠っていた。
小倉東から九州自動車道に乗り、関門橋を渡って中国自動車道へと車を進めた。
昼間に寝たせいか眠気は感じなかったが、次のS.A.で休息を取ろうと思っていた。
煙草を吸いたかったが、高速道路では窓を開ける事に気がひけた。
後ろで気持ち良く眠ってる二人を起こしてしまうのはかわいそうだと思ったからだ。
僕はエアコンの温度の設定を2度上げてカーステレオの音を少し絞った。
目当てのS.A.に近づくと車のスピードを減速させ、スムーズにS.A.に入って行けるように心掛ける。
S.A.の案内板には『六日市』とあった。
駐車スペースにステーションワゴンを滑り込ませ、二人を起こさないようにして外に出る。
トイレを済ませ自販機で缶コーヒーを買い、ベンチに座ってマルボロに火を点けた。
大きく吸い込んで細く吐き出す。
「結構進んだわね」
ここあさんの声がして後ろを振り向いた。
「起きていたんですか。彼女は?」
「沙希さんなら良く眠ってたから起こさないでおいたわ」
「そうですか。喋り疲れたんですかねぇ」
「で?どう思ったの、彼女の話を聞いて」
「どう思ったかだなんて難しい質問をしますね。どう思おうが、彼女の過去は変わらないし、僕は今の彼女を愛していますから」
「ずいぶんと言ってくれるじゃない。わたしは少し驚いたわ。彼女が私の『先輩』だったなんて」
「ここあさん、それは・・」
「わかってる、言わないわよ絶対に」
僕はフィルターの近くまで短くなった煙草を灰皿で揉み消して、新しい煙草に火を点けた。
「私にも一本ちょうだい」
ここあさんが隣に腰掛けて来た。
僕はマルボロを一本抜き取り、ここあさんの指に挟ませるとライターで火を点けてあげた。
「フーッ。あとどれくらい掛かりそう?」
「わかりません。でも確実に近づいてるのは確かです」
「そうね。あの馬鹿、見つけてやったら何て言おうかしら」
「権田先輩にも事情があるんですから」
「分かってるわよ。ただ、何も言わないのも悔しいじゃない」
「ここあさん・・」

