【件名:ゴール裏にいます】

僕には一つだけ気になる事があった。

アパートまで帰り着くと沙希ちゃんに電話を掛けた。





「もしもし?お母さんの事で気になる事があるんですけど・・」

「なに?お母さんなら勇次くんが来るの楽しみにしてるよ。今も明日の準備って張り切ってるけど?」

「仕事の話し、お母さんにしといた方が良いですか?僕が無職になったって事」

「そうだねぇ、余計な心配はかけない方が良いかもね」

「沙希ちゃんのお母さんてどんな人ですか?僕が正直に話したとして、怒り出すような人ですか?」

「う〜ん、そんな事で怒るような人ではないよ、多分」

「じゃあ僕は正直に話したいです。お母さんにまで嘘をつきたくはないですから・・」

「ちょっと!お母さんにまでってどう言う事?勇次くん、あたしに何か嘘をついてるの?」



(しまった――――)

「いえ、そんな事はないですよ。僕は沙希ちゃんに嘘なんかついてません」

「あやしい・・・・」

「ちょ、本当ですから。じ、じゃあ、明日楽しみにしてますから」

「うん。明日ゆっっっくりお話ししましょうね。おやすみぃ・・」

「おやすみなさい・・」




冷や汗かいた・・・。


でもこれで僕の腹は決まった。
明日はお母さんにも僕の話しを聞いて貰おう。
そして沙希ちゃんと付き合う事を本気で認めて貰おう。

僕はそれで認めて貰えなかったら土下座でも何でもするつもりでいた。

それくらい僕の生活に彼女の存在は欠かせなくなっていた。



と、さっき電話を切ったばかりの沙希ちゃんからメールが届いた。


【件名:ついて行きます】
私は勇次くんの事しんじてるよ。
だからもっと正直に何でも話してね・・
仕事が無くったって勇次くん一人くらい私が食べさせてあげるからね!
何も心配しないで、後悔だけはしないでね・・
私には勇次くんさえいてくれたら良いの。
お願いね・・・。





涙が出た。



と、同時に胸が張り裂けそうな位に痛くなったんだ・・・・




ごめんね、沙希ちゃん――。





翌朝、僕は持っているスーツの中で1番上等な物を着てステーションワゴンに乗り込んだ。