【件名:ゴール裏にいます】


寝室のドアをそっと開け、沙希ちゃんの様子を見る。

さっきと同じ姿勢のまま眠っていた・・。

(初めて来た部屋でなんでこんなに良く眠れるの?)

わざと大きな音でもたてたい衝動にかられながらも、僕はそっと寝室のドアを閉めた。

洗面所から真新しいバスタオルを一枚持って来てソファーに横になりお腹の上に掛けた。

(眠ろう・・)

目を閉じ眠る事だけに意識を集中させる。

(ひつじが一匹、ひつじが二匹、生足が三本、生足が四本・・・ダーーッ!眠れねーーー!)


(そうだ、確か冷蔵庫に貰った缶ビールがあったな・・)

僕は音を立てないようにリビングを横切り冷蔵庫を開けた。

会社で貰ったお中元のおすそ分けの缶ビールが二本あった。
その一本を取り出しプルタブを引く。

「プシュ」っと音を立てビールの泡が溢れ出る。

350mlのビールを一気に喉に流し込む。

「ゔぁ〜〜〜・・」

これで今日一日で飲んだビールの量はどれくらいなもんだろう?

僕は朦朧としたままソファーへ倒れ込んだ。

(あ・・眠れるかも・・)

混沌とした意識の中、僕は深い眠りの淵へと落ちて行った。










(おはよ、起きて・・)




(ねぇ・・起きて・・)



誰かに揺り動かされる夢でも見ているのかと思いながらも目をうっすらと開けた。

僕の顔のすぐ上に沙希ちゃんの顔が覆いかぶさっている。

「おはよ。夕べは寝ちゃってごめんね・・」

沙希ちゃんはそう言うと僕の唇に自分の唇を合わせてきた。

(ちょ、何?これは夢・・・・・?)

夢にしては生々しく、僕の顔に沙希ちゃんの鼻息がくすぐったかった。

やがて沙希ちゃんの舌先が僕の唇を割って入ってくる。

僕の前歯を舌先でノックしてくる沙希ちゃん。

そっと口を開くと一気に僕の舌に絡めつけてくる。

二人の鼻息は荒くなり、もつれるようにしてソファーの下へと転がり落ちた。

今度は僕の方が上になる。

沙希ちゃんの瞳を覗き込みながら進んで唇を合わせた。
背中に沙希ちゃんの両手が回る。
その手に力が入り、グッと引き寄せられるようにして抱き合った。

明けてない朝だった。