僕と沙希ちゃんは消防署の交差点を渡り、その向こうにあるコンビニに入って行った。
「いらっしゃいませ!こんばんは〜!」
青と白のストラップ模様の制服を着た店員さんが大きな声で出迎えてくれる。
店員さんは二人いた。男性と女性。
目指す物は雑誌コーナーの向かいの棚にあった。
一度通り過ぎてそれを確認する。
「ありました、アレですね」
「うん、あたし取ってこようか?」
「いえ。僕が行ってきます」
ストッキングが陳列されている棚の前で声を潜め会話した。
「三種類ありましたけど、どれが良いんですか?」
「そんなのあたしがする訳じゃないんだから分かるはずないじゃん」
「そ、そうですよね・・じゃあとにかく取って来ます」
雑誌コーナーには6人の男女がそれぞれ等間隔で立ち読みをしていた。
その人達に背を向け『今度産む』を疾風の如く手中に収める。
説明書きなどみる余裕はない。
「取って来ました!これで良いんですよね」
小さな箱を沙希ちゃんに見せる。
『超うすうす』
「ばか、見せなくて良いから・・」
沙希ちゃんは小さな箱を手で覆うと、それから目を背けるようにかぶりを振った。
(あ・・飲み物あったっけ?)
「ほ、他にも買って行きましょう。飲み物とか」
沙希ちゃんはコクンと頷き、飲料水の棚へと足を進める。
僕も後に続く。
ミネラルウォーターのペットボトルを二本、烏龍茶と清涼飲料水をそれぞれ一本ずつ。
レジは二つ。
僕は男性店員のいるレジの方へ向かった。
後から沙希ちゃんが着いて来る。
レジには一人のお客さんが会計して貰っている最中だった。
後ろから沙希ちゃんが声を掛けて来る。
「ねぇ、これもいる?」
手にした物を見る。
『赤まむしドリンク』
赤と黒いラベルが毒々しかった。
「いりませんよ!早く戻して下さい!」
押し殺した声でたしなめるように言った。
沙希ちゃんは渋々と言った雰囲気でそれを棚に戻している。
まったく・・天然なのか、ボケてるのか、いまいち良く解んない人だ。
「お待ちのお客さま、こちらへどうぞ」
女性の店員さんから声が掛かった。

