「いててててて・・・」
「何?そんなに痛かった?ちょっと見せて―――うわっ!皮剥(む)けてるし・・」
「ぼ、僕の事は良いですから早く洗いましょう・・」
「そうだね、お父さん待たせちゃいけないね」
僕らは代わる代わるにシャワーを使い、赤い血糊の跡を落としていった。
とりあえず着替えられる位まで落とすと、「後でまたお風呂に入れば良いね」と言う沙希ちゃんの言葉に賛成し、早々に浴室を飛び出した。
リビングにはソファーに座らず、床の上であぐらをかいている父親がいた。
「お父さん、今お茶を煎れますね」
「あっ、彼女は臼村沙希さんと言って、このアパートで一緒に暮らしています。近いうちにお父さんにも紹介をするつもりでした」
「そうか、お前にもそんな人が出来たんか・・臼村さん、こんな奴ですがどうかよろしくお願いします。年頃になってもそんな話もいっこも無くて心配しておったんです」
「いえっ!こちらこそよろしくお願いします。ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありませんでした・・」
沙希ちゃんはお茶を煎れる手を止めて深々とお辞儀をした。
「良い娘さんじゃあないか勇次、えっ!」
「どうも、彼女に出会えたのは奇跡に近いと思っています」
「勇次くん、それ誉(ほ)めすぎ・・」
「どうぞ、煎茶が無いので紅茶ですが」
沙希ちゃんはテーブルの上にカップを三つ並べて言った。
「ちょうど良いから臼村さんも座って話を聞きなさい。―――勇次、那比嘉道三には会ったな?」
「はい。会いました」
「あれはな、俺の弟だ」
「えっ!」「うそっ!」
「そしてな勇次、お前は間違いなく道三の息子だ」
「お父さん・・僕のお父さんはあなただけです。誰が何と言おうともです!」
「まあ俺の話を聞け。道三はな誤解され易いが悪い奴じゃあ無い。確かにあいつは財を成してから嫌な奴になった。だがな勇次、お前の事はいつも気に掛けとったよ。十分過ぎる学費も出すと言って来た。だがそれを全て断ったのはお前の母親の麗子だった。麗子は道三との関わりを一切勇次には受けさせない、私達が立派に育ててみせると、いつも言っていた」
「お母さん・・」

