「な、何であなたがここに?」
那比嘉道三はゆっくりと振り向いた。
「私だけではないさ、みんなもいる」
道三の振り向いた先には『H・O・S』のみんなとあの刑事までもがいた。
「原田社長!綾蓮さん!」
「どうして?」
更に沙希ちゃんが聞いた。
「翔子の奴が知らせて来たんだ。私の店で殺人事件が起こったってな。俄(にわか)には信じられなかったが、千尋がいると聞いて飛んで来た。一応警察にも連絡した」
「那比嘉さん・・」
「千尋っ!」
原田社長が一目散に駆け寄って来た。
「千尋っ、大丈夫?怪我してない?あなた達は・・」
「僕らは大丈夫です。これはケチャップジュースですから。千尋ちゃんにも怪我はありません。怪我はね」
「ああ・・本当に無事で良かったぁ・・」
そう言って原田社長は千尋ちゃんをギュッと抱きしめた。
「・・・・いたいよママ」
「!!!千尋?今、千尋の声が聞こえたような・・」
僕と沙希ちゃんは顔を見合わせて笑った。
「社長、千尋ちゃん、言葉を取り戻しましたよ」
「勇次くん・・まさか・・」
「ママいたいって」
「ああっ!なんて事―――!!」
「うそっ!」「千尋ちゃん!」
『H・O・S』の面々も一様に驚き、それぞれに涙していた。
原田社長の喜びはそれ以上の物だっただろう。
「勇次、おめでとう。良くやったな」
いつの間にか横に立っていた那比嘉道三が僕の肩に手を掛けて言った。
「それで?探し物は見つかったのか?」
「あー!僕のステーションワゴンは?」
「勇次くん・・このチョークの跡・・」
「そんなぁー!レッカー移動かよ!」
「本当にいいのか?」
「良いです。あなたの世話にはなりません」
うちまで送って行くと言う那比嘉道三に丁寧に断りを言い、僕と沙希ちゃんは中央署まで歩いて行った。
中央署のロビーに僕らが入ってゆくと、そこにいた警察官達が色めき立って僕らを取り囲む。
「あのぉ、車をレッカー移動されたんですが・・」
素直に帰して貰える雰囲気では無いように感じた。

