「ああ、あなたでしたか・・」
「どうも。あっちのトイレ混んでたもんでこっちまで来たんすよ。そしたら朝会った人に似てるなぁ、って思って」
「今朝はありがとうございました。おかけで探していた人にも会えました」
「いえいえ、道案内も仕事っすから。それより良い試合じゃないですか。ウチもそうだけど、トリニータも強いっすねぇ、サポーターも良い声出してるし」
「そう、ですか?僕はアルビレックスのサポーターの多さにビックリしましたよ。応援にも力入ってるし、凄いですね」
「まあ、お互いにがんばりましょう。来年はJ1でやりたいっすね」
「そうですね。来年は大分にも必ず来て下さいね。待ってますよ」
ガソリンスタンドの彼は「じゃあまた来年」と言って自分の場所へと戻って行った。
(しまった・・名前くらい聞いとくべきだった)
僕はほんのちょっと後悔したが、あの彼とはまた会えるような気がしていた。
そんな不思議な気持ちになれるのもサッカーの醍醐味の一つかも知れない。
ビールと烏龍茶を両手に抱え沙希ちゃんとここあさんの所まで戻る。
二人はまだ話し込んでいた。
「はい。お待ちどおさまでした」
二人は「ありがとう」と言って飲み物を受け取ると僕の事をジッと見ている。
「な、なんですか?二人して・・」
「いやぁ、勇次くん変わったな、って名山さんと話していたところ」
「僕が・・ですか?」
「勇次くんてさ、前はあんまり知らない人と話をしたりしなかったよね?それが――」
「そ、そうですね。あ、あれ?」
「あたし、勇次くんをトリニータの試合に連れて行って良かったな、って感じてる。勇次くん、立ち応援している時もそうだけど、とても楽しそうなんだもん」
「楽しそう・・ですか?」
「うん!何か見ていてこっちも楽しくなっちゃう!勇次くんてそんなパワー持ってるよ!ありがとう」
「そうかなぁ?ただ単にサッカーとトリニータにハマっただけなんですけどね。僕が沙希ちゃんにお礼を言いたいくらいですけど」
「ねえ?そんなになるサッカーの魅力って何なの?」
ここまで二人の会話を聞いていたここあさんが問いかけてきた。
僕が答えようとした時に後半戦のホイッスルが鳴った。

