【件名:ゴール裏にいます】


2001 Jリーグディビジョン2

《第35節》
アルビレックス新潟vs大分トリニータ


待ちに待った試合開始のホイッスルが吹かれた。

大観衆の大声援に圧倒されながらも僕ら大分トリニータのサポーターもそれに負けじと声を出してゆく。

『トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!!(ドドンドドンドン)』

今日も結樹さんの叩く太鼓の音は軽快だ。
試合の経過を見ながらコールリーダーに指示を与えてゆく。

攻めてる場面では軽くスピーディーに、攻め込まれる場面では遅く重圧的に。場面場面での切り替えを太鼓の音に乗せてリードしていた。

『トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!(ドドンドドンドン)トリニータ!!』



完全敵地の逆境の中、我がトリニータは奮闘していた。
攻め込まれる場面も多く、その度にヒヤリとさせられたが、何とか凌(しの)いでいる。

相手の中盤の選手が持ったボールをチェックに行く時に掛けるプレッシャーも気持ちが入っているからこそパスミスを誘う。

今日のトリニータ戦士達は全員気持ちが入っていた。

それに応えるべくゴール裏のサポーターも気持ちを込めて声援を送った。



試合は膠着状態のまま両者無得点で前半を終了。
完全アウェーの中にあってのまずまずの出来に、僕は大いに満足だった。



ハーフタイム中、僕は沙希ちゃんとビジターシート最上段にいるここあさんの所に行った。

「ここあさん、サッカーどうです?面白いですか?」

「んー?正直良く分からないわ。あそこにボールが入れば良いんでしょ?でも全然入らないし・・」

「そうですか、そうですよね。後半に期待しましょう。あ、何か飲みます?沙希ちゃんは?」

僕は沙希ちゃんをここあさんの隣に残して飲み物を買いに行こうとした。

沙希ちゃんとここあさんは何やら話し込んでいるようだった。


ビールを買うために列に並んでいた時、後ろから不意に話し掛けられた。
その声に振り向くと、今朝会ったガソリンスタンドのスタンドマンの彼だった。