【件名:ゴール裏にいます】


僕たち三人はホテルの前からタクシーに乗り込んだ。

「すいません、新潟スタジアムまでお願いします。試合間に合いますかね?」

「はい、大丈夫ですよ。20分程で着きますから」

気の良さそうな運転手さんの手首にはアルビレックスのリストバンドが巻かれていた。

後部座席では沙希ちゃんとここあさんが話をしている。

「沙希さん、さっきはありがとう。お陰でスッキリしたわ」

「名山さん、あたしさっきはあんな事言ったけど、本当は権田さんの事良かったなって思うんです。ももちゃんって人に巡り会えて男として蘇ったんでしょ?あの二人には幸せになって欲しいな・・」

(うん、僕もそう思うよ、ここあさんには悪いけど・・)

「あなたって本当にいい娘ね。私はあなたに出会えてとても嬉しいわ。私もあの二人に幸せになって欲しいわ」

「名山さん・・」

(うんうん。良かった良かった)

「そう言えば――――」

(?)

「さっき権田さん何か言ってなかったっけ?勇次くんを任せたとか何とか・・何の話かなぁ?」

(ギクッ!)

「そ、それはまた後で話すわ。ほら今は試合の事を考えなきゃ・・ね、勇次くん・・」

「え?え?すいません、良く聞こえなかったんですけど・・」

「まあ良いわ、試合が終わったらジックリと聞かせて貰いますから!」




しばらくして前方にビッグスワンが見えてきた。

2001年4月29日、新潟市清五郎・長潟の新潟県スポーツ公園内に2002年FIFAワールドカップの会場となる「新潟スタジアム(愛称:ビッグスワン)」がオープンした。

建物は地上5階建てで、約4万2300人収容可能。観客席を覆う白い屋根は、隣接する鳥屋野潟に飛来する白鳥をモチーフに造られている。

こけら落しとして、アルビレックス新潟対京都パープルサンガ戦が、5月19日に行われていた。
結果は延長の末、3-4で劇的にアルビレックス新潟が敗れた。



ビッグスワンはとても美しいスタジアムだった。
白い屋根は本当に白鳥の羽に見えたし、ビッグアイとはまた別の感動を覚えた。

(やっと辿り着けたな・・)

僕は憧れのスタジアムを目の当たりにして武者震いを抑え切れないでいた。

試合後の事も・・。