沙希ちゃんがキッと僕を睨んだ。
背中に冷や汗が流れる――。
先輩が店に戻ってみると僕とここあさんの姿は既に無く、案の定荒れたままのももちゃんがいた。
先輩は僕の事をここあさんに任せた手前、ももちゃんをほって置く事が出来なくなりももちゃんを指名して慰めていたと言う。
飲みながら話をしているうちにももちゃんの出身も新潟という事が分かり意気投合した。
懐かしさも手伝って、ももちゃんをテイクアウトし、自分のマンションへと連れて帰った。
同郷人としての安心さからかももちゃんは先輩に心を許し、新潟の実家を家出同然に飛び出してきた事を打ち明け、涙ながらにその時の話をしたと言う。
先輩はももちゃんを愛おしく思い、抱きしめた途端に事故以来機能していなかった下腹部に蘇るような力を感じた。
その勢いのままももちゃんの身体を貪(むさぼ)るように愛し、二人は身体と共に心まで繋がった。
「それから土、日と色々考えたんだが、すべてが阿保らしくなってな・・。勇次も知っていると思うが支社長の犬になっているのも、言っちゃあなんだがここあの事も。全て捨てて一からやり直したいと思った。こいつと一緒に・・」
「でも先輩、やばい事に足を突っ込んだ、って・・」
「ああ、突っ込んだのは足じゃなかったって訳だな」
「それに先輩の会社での個人情報が消えてましたけど・・」
「あれは友達にコンピューターに詳しい奴がいてな、そいつに頼んで消させたんだ・・時期をみて勇次とここあには連絡しようと思ってた。けど、こんなに早く見つかるなんてな、思ってなかったわ・・」
僕はここまでの先輩の話を聞いて怒りが込み上げてきた。
握った拳がフルフルと震えるのを感じていた。
ここあさんは何をするでも無く、ただ俯いたままでいた。
その時だった。
「勇次くん!名山さん!そこをどいて!」
叫んだのは沙希ちゃんだった。
その手にはナイフが握られ、顔を真っ赤に硬直させ、今にも権田先輩に飛び掛からんばかりだ。
「沙希ちゃんいけない!」
「こんな自分勝手な男はこうでもしなきゃ気が収まらない!」
そう言って沙希ちゃんは権田先輩に走り寄ると、その股間にナイフを突き立てた。
「あっ!!」

