【件名:ゴール裏にいます】


喫茶コーナーに居続けるのはさすがに気が引けた僕は再び喫煙スペースへと場所を移した。
ここからはエレベーターホールが良く見える。

そこで5分程待つと二人は降りて来た。

「勇次くんお待たせ!」

「ちょっと!さっきのはどう言う事よ!」

ここあさんはまだ怒っている様子だったが構ってはいられない。

「二人共落ち着いて聞いて下さい。権田先輩達を見つけました。今二人はそこの埠頭で僕らが行くのを待ってます」

「えっ!」

二人は同じ驚きの声を上げる。

「とにかく行って二人の話を聞きましょう」

「ももちゃんもいたの?」

「はい、一緒でした」

「わ、私行かないわよ・・」

「ここあさん、行きましょう。行って全てをはっきりさせないと前に進めないんじゃないですか?せっかくここまで来たんだから行きましょう!」

「勇次くん・・」

「沙希ちゃん、ここあさんの手を引いて着いて来て下さい」

「うん!分かったよ!さあ名山さん行きましょ・・」

僕は二人の前を歩いた。ホテルのエントランスを抜け、埠頭へ―――。




2分程歩いた埠頭の岸壁で権田先輩とももちゃんは待っていた。
僕らが近づいて来るのを身じろぎもしないでじっと待っていた。

その二人の姿には何かしらの覚悟を感じ取る事ができた。



二人の目の前にここあさんが立つ。

「権田さん、これはどう言う事か説明してちょうだい・・」

ここあさんは俯いたまま静かに口を開いた。
二人の並んだ姿がまともに見れないと言った様子だ。
僕と沙希ちゃんはここあさんの後ろで見守っていた。

「説明する前にこれだけは言わしてくれ。すまん、悪かった、みんなに心配かけて本当にすまなかった!」

「分かったから、説明してちょうだい・・」

「そうか・・そうだな・・」

権田先輩はももちゃんを気遣いながらもポツリポツリと話を始めた。




「あれは勇次の転勤が決まった日の事だな――」

権田先輩の話はこうだ。

あの日、僕が酔い潰れてここあさんに面倒看るように言って自分は仕事が残っているからと先に店を出たものの、その時に荒れていたももちゃんが気になっていた。

(え〜?その話ぃ?やばくない・・?)