二人は同じアルビレックスのレプリカユニホームに身を包んでいた。
周りの人達が何事かと言うように僕らを見ている。
別のテーブルにはオレンジ色のレプリカユニホームを着た人が、僕の怒号と共に立ち上がっている。
それはそうだろう。今日対戦予定のトリニータのレプリカユニホームを着た僕が、アルビレックスサポーターに向かって怒鳴ったているのだから、ほってはおけない気持ちになるのは当然だ。
「あ、すいません・・何でもありませんから・・」
そう言ったのは権田先輩だった。
「そんなに熱くなるなよ、お前らしくもない」
確かに僕らしくはないだろう。それは僕自身がそう感じていた事だ。
何かが僕の中で変わっていた。
今までの僕は争い事から目を背け、辺り障りの無い人生を歩んできた。
喧嘩をした事も無ければ誰かと口論さえした記憶が無い位だった。
「先輩・・どうしてたんです?みんな心配していたんですよ?危ない目にあってるんじゃないかって・・」
「まあそれについてはいささかの説明をしなくちゃいけないと思ってる」
先輩はそう言いながらももちゃんの方をチラチラと心配そうに目をやる。
「もうすぐここあさんも降りて来ます。きっちり説明してあげて下さい。ももちゃんはいない方が良いですよ」
「え!ここあも来てるのか?」
「はい。ここあさんがどれだけ心配していたと思います?下手したら先輩、殺され兼ねないですよ?」
権田先輩はももちゃんに一瞥をくれ、言った。
「もも、部屋に行ってろ。後で電話するから」
そう言われたももちゃんは、
「わたしここにいるよ。ここあ姉さんからは逃げたくない・・」
「もも・・」
「どっちにしろ、もうすぐ降りて来ますから、ここでは何ですから場所を変えましょう」
「そうだな・・で?どこへ?」
「ここから歩くとその先に埠頭がありましたよね。そこで待っていて下さい。逃げるのは無しですよ」
「分かってる。逃げるつもりは無い。先に行って待ってればいいんだな」
「はい。僕らもすぐに向かいます」
「そうか、じゃあ行っとくわ」
「お願いします」
権田先輩達はそう言ってホテルを出て行った。
僕は二人を待った。

