すると、画面には珍しい文字がと、沢山の報道陣のフラッシュを浴びた一人の若い男の人が写し出された。



今まで新聞に熱い視線を送っていた父や洗い物をしていた母でさえテレビ画面をちらと見たほどだ。








―釈迦如来帝―


真瑠は写し出されていた文字を呟いてみた。


『……しゃ、しゃかにょらい…てい……??』


変なの、と思った瞬間、それは父に訂正された。

「真瑠、釈迦如来と書いて“にぐろめ”って読むんだよ。あと、帝はていじゃなくて“みかど”だ。」



父はそう言ってからマグカップを手に取り、中の珈琲を啜った。



ふうん。と真瑠はあんまり興味無さげに相槌を返した。真瑠よりも食い付いたのは母だった。



「釈迦如来帝なんて、有難い名前ねえ。まるで神様みたい。」



母が何故かうきうきしたような感じで言った。その母の言葉をすかさず繋げたのは父だ。



「…実際、“神の子”って言われているからな。」


内心興味はなかったが、とりあえず真瑠も二人に合わせた。

『どーゆーこと??』