オレはまた中庭にある自動販売機に行ってアイスを買った。
どうしても
あの女が気になる。
何故か、オレを待ってるんじゃないかとか思った。
アイスをもうひとつ買ってしまった。
教室に戻ったオレをあの姿が待っていた。守ってあげたくなる小さな後ろ姿。
トン!
オレは向井ゆんという女の机上にアイスを置いた。
『えっ』
向井ゆんは
びっくりしていた。
急なことだったから。
『やるよ。
一本多く買ってしまったから』
『あ、ありがとう』
向井ゆんは美人だった。
顔をちゃんと見たことがないオレはドキッとした。不覚にも。
『……』
静か〜。
静かすぎるだろ。
だいたい本当にこんなやついたか?
それとも不登校だったとか。
溶けてしまいそうなアイスを頬張る。何にも言わない向井ゆんにオレは益々気になってきた。
内気なのかもしれない。
オレは向井ゆんに話しかける。
『向井だっけ?』
『っえ?うん…』
『オレ知ってる?』
『うん…名前だけしか』
『…もしかして登校拒否?』
『うん…』
なんで恥ずかしそうに答えるんだ?
『だから補習なんだ』
『うん』
またもや沈黙。
はあ…。
なんだか疲れた。

