純情恋心


 * * *

《お話したい事が
 あります。
 会ってくれませんか?》

勇気を振り絞って送ったそのメールは、3時間経っても返信がない。

やっぱり会う事はしてくれないんだ……そう半分諦めながら、まだ午後の授業が終わるまでわからないと、携帯を気にしていた。

まだあと1時間、授業がある。

まだ待とう、まだ可能性はある……そう思いながら、あたしは6時間目の授業を受けていた。

苦手な英語の演習は普段からやる気が起きないのに、今日は携帯を気にしてばかりで余計に集中出来ない。

演習は簡単だなんて千歳が言っていたけど、やっぱり英語に変わりはない。

何がなんだかさっぱりわからなくて、あたしは机に突っ伏してスカートのポケットに意識を集中させた。

だけど相変わらず、携帯は何も受信しない……。

次第に睡魔に襲われてきて、意識が半分なくなってきた……その時。

スカートのポケットが微かに振動した事に過剰なくらい反応したあたしは、慌てて携帯を開いた。

待ち受け画面の左下に表示された新着メールを、高揚してしまう心音を落ち着かせて開く。

《今なら安い!
 夏物50%〜70%OFF☆》

「………」

そんな見出しのメールマガジン、期待はずれの送信元に少し苛立ったあたしは、思わず机を拳で叩く。

それが意外にも大きな音をたててしまって……教室中、もちろん先生にも気付かれてしまった。

『……じゃあ畑中さん、94ページの問5を答えてくれるかな?』

にっこりと、目は笑っていない笑みを先生に向けられて、あたしは自分の問題集に目を向けた。

……だけどもちろん、未回答。

「……ごめんなさい、わかりません……っ」

『そう、いいわ、でもわからないなら寝ないでね。じゃあその後ろの……』

あたしが寝ぼけていたと思ったのか、そう言うと後ろの席の子をあてた先生に、申し訳なかったと思いつつ。

こんな事にさせたメールを憎らしく思って、あたしは迷わずそのメールを削除した。