本当の事を言うと、ちゃんとゆっくり会って話したいとは思う。
でも待つと決めたから、高遠先輩が覚悟を決めてくれるまではそういう気持ちを極力抑えようと……。
『那智、待つばかりが誠意じゃないよ』
「……え?」
千歳の不意の言葉に、あたしは顔を上げて千歳を見つめた。
『たまには我が儘言ってもいいと思う。事情は知らないけどね、なんか那智を見てると我慢してるのがよくわかるから』
千歳はたまに、鋭いところをついてくる。
そうするとあたしはどうしてか少し弱くなる、……でも、勇気をもらえる。
「……本当は、ちゃんと会って話したいの。傍にいたいの、離れたくないの……っ」
正直な気持ちを言葉にしたら、我慢し続けていた感情が溢れ出して……止まらない。
「でも会って別れを告げられたら、って思うと、怖くて……!」
『大丈夫だよ、……那智は知らないかも知れないけどね、高遠先輩は那智をちゃんと想ってるよ』
知ってる……、高遠先輩はあたしを好きだと言ってくれた。
もう哀しませないと言ってくれた。
待っていて欲しいと、言ってくれた……。
その全てを信じて待っているのに、やっぱり不安で……だから、我が儘を言ってもいいですか?
ずっと待っているんだから、少しくらいの我が儘を……許して下さい……。
――教室で人目もはばからずに泣いたあたしは、その日、決意を固めた。
