「帰ろう、雫」
無事に授業が終わり、教室の隅で竜馬くんと赤外線でメアドの交換をしていると
「なんだ、廉か」
廉に後ろから声をかけられた。
「ちょっと待って。
もう少しで終わるから」
今、受信中なの。
そう思っていると
「雫ちゃん。
彼は?」
と、竜馬くんに聞かれる。
「ああ、コイツはただのクラスメイトの水谷廉」
ただのクラスメイト、というところをムダにアピールするあたし。
すると廉は
「どうも。雫の幼なじみの水谷廉です。」
幼なじみってところを強調。
わざわざ言わなくてもいいのに。
幼なじみ、ってこと。
「幼なじみなんだ。
俺は音無竜馬。
竜馬って呼んで。
よろしく、廉」
竜馬くんはあたしにしたのと同様に廉に手を差し出す。
廉はしばらくその手を見つめたあと、その手を握った。
あの…廉?
なんか顔がかなり怖いんですけど。


