「音無竜馬です。
よろしくね、朝倉さん」
音無くんがあたしの席のところまでやって来るとそう言って手を差し出す。
「朝倉雫です。
こちらこそ…よろしくお願いします」
遠慮がちに差し出された手を握る。
そうするとガチッと音無くんに手を握られ、握手。
おー…ますます女子からの視線が痛くなった。
「と、いうワケで10分休憩ね!
はい、じゃあ解散」
その言葉でドッと人が音無くんの周りに集まる。
全員、女子。
恐るべし、女子パワー
「いいなぁー、雫。
音無くんと隣の席とか最高じゃん!」
ミーハー精神旺盛な梢があたしの席でそんなことを言う。
「そう…なのかな?」
最高なのか?この席。
「にしてもさ!雫。
雫の理想のまんまじゃない?
音無くんって!」
「あたしの理想…?」
「ほら、前に言ってたじゃん!
優しくて、爽やかで、カッコ良くて、って。
まあ優しいかどうかはまだ分かんないけど。
爽やかだし、廉くんに負けず劣らずのカッコ良さ!
ど真ん中ストライクー!
って感じじゃん!」
なぜか興奮気味の梢。
でも、確かに梢の言う通りだ。
音無くんはあたしの理想とピッタリ。
……………って、そんな簡単に落ちないっつーの!
あたし、これでもお堅いタイプなんだからね!


