「零が高2だった。
その年のクリスマス。
俺たちは会う約束をしていたんだ。
その前からなんかおかしいな、って思ってたんだけど
まさか、フラれるとは思ってなくてさ。
楽しく零の手作り料理食べて、
零の部屋でくつろいで、
その帰りだった。
零が言ったんだ。
教師っていう職業も、6歳も年上っていうのもすごく重い、って。
毎日会えないことも、手を繋いでデートに行けないことも、すごく苦しい、って。
私には耐えられないから、だから終わりにしよう、って。
カッコ悪い話だけど、
俺、これ聞いて号泣したんだ。
ああ、零の本音はこれだったのか、って。
だとしたら俺は零を引き留めちゃいけない、って思った。」
「それは…違うんじゃないですか?」
廉の真剣な声。
そうだよ、お父さん。
あたしも、違うと思う。
「零さんの本音はそうじゃなかったと思う。
ホントは秋平さんがスキでスキでたまらなかったけど
こう言うほかになかったんだと思います。
何か…違う理由があったんじゃないんですか?」
あたしもその意見に賛成。
お母さんは昔も今もお父さんのことが大好きなんだよ?
「鋭いな~、廉くんは。
そうさ、大正解。
零が別れを選んだのは
他に、理由があったんだ。」


