あたしはあの保健室でのことを思い出し、顔を赤くする。

それに気づかれないように膝を抱えて、そこに顔を埋めた。



「はい。いるんです。

でもその子…相手にしてくれなくて」


「え?廉くんをかい?」


「そうなんです…

俺、どうすればいいんでしょうか」


ってさ、2人とも。

そういう話、2人きりのときにしてよね。



「ねぇ、やめようよ、その話。

廉の恋バナなんて聞きたくない」


そう言うとニヤッと笑ったお父さんに攻撃された。



「そんなこと言って~

雫、ホントは廉くんの恋バナ、気になってるくせに~」



「……………ウザイ」


ボソッと呟くとお父さんはさも傷ついたような顔をして。


なんかこういうところ、

廉とお父さんは似てるからイヤだ。



「雫、今のは言い過ぎ」


なんで廉にそんなこと言われなきゃいけないの?

と、言いたかったけどまあでも、廉の言う通りだ。


ウザイ、なんて言葉にしなくてもいいことだった。



「……ごめん、お父さん」


はぁ…

なんであたし、素直に謝っちゃってるんだろ…