「ちょっと水谷先生!
それ以上は言わないで下さいよ!
父親のメンツ丸つぶれ、って事態だけは避けたいんで」
突然現れたお父さんは、真剣な顔をしていて。
やっぱりなんかあったんだ。
あとで光さんに聞いてみよっ、と心に決める。
「分かってますよ。
私だって言っていいことといけないことの区別くらいはつきます!」
「ウソですよ!
前、バラしちゃいけないこと、零にバラしたでしょう!」
そんな2人のやり取りを笑いながら見守るお母さん。
お母さんとお父さんは10歳くらい年の差がある。
なのにお母さんの方が大人に見えるのはあたしだけだろうか。
「なんかみんな仲良いなぁ…
俺だけ、仲間はずれだよ」
そんな呟きが聞こえて後ろを向くと
「うわっ!
誠司さん、どんな顔してるんですか!」
落ち込んだ誠司さんがいて。
その顔が面白くて、思わず笑う。
「笑わないでよ~、雫ちゃん。
これは深刻なんだからさ」
そう言う誠司さんの話に耳を傾けた。


