そしていつの間にか寝てしまったあたしは
「雫、起きなよ」
ヤツの声で起こされた。
「……なんで?」
思わず薄目を開けて問う。
「なんで?って着いたからだよ。
ほら、みんな行っちゃう」
いやいやいや…
そうじゃなくて。
どうして違う車に乗っていた廉が
あたしを起こしに来たのか、ってことを知りたかったけど
めんどくさくなって言うのをやめた。
「もう先行くから」
廉は寝起きのあたしをおいて、ささっと歩いて行ってしまった。
「ったく、雫は誰に似たのか行動が遅いんだから。」
車の外で待っていたお父さんが呟く。
「あたし、お父さんの子どもだからお父さんに似たんだね。
……サイアクー」
イーッと歯を見せてお父さんに嫌味を飛ばす。
「あー!雫、そういうこと言うのかぁ!
お父さん、泣きそうだな~」
「そういうの、ホントうざい!
お父さんなんて嫌いなんだから~!」
あたしは走ってお母さんのところへ行く。
お父さんは呆れたように笑いながらもどこか悲しそうな顔をしていて。
冗談なのに、と心の中で呟いた。


