「おーい、4人ともそろそろ行くぞ~」
危うく姉弟喧嘩になりそうなところへ誠司さんの声。
「廉、こっちの車乗ってよ~」
「そうだよ、廉くん」
廉は優とあかねちゃんに無理矢理引っ張られ誠司さんの車に乗り込んだ。
「雫は向こうの車に乗らなくていいのか?」
自分ちの車に乗り込むあたしにお父さんが言う。
「うん、いい。
こっちのほうが静かだから」
どうせ、向こうの車に乗ったら
遊び相手にされるだけだ。
そんなのまっぴらごめん。
1番後ろの席に座り携帯を開く。
液晶に
『新着メール1件』
の文字。
メールを見ると梢からだった。
内容は
『廉くんと仲良くね』
はぁ…
まったく梢は何も分かってないんだから。
あたしは素早く親指を動かす。
『そんなこと言うならお土産、あげないからね』
とそんな文面を見て一人満足すると
送信のボタンを押した。
ちょっとした反抗。
梢はこうでもしなきゃ、また何か言ってくるに決まってるんだから。


